カス

道中で学生集団が僕に向かって歩いてきたので怖かった。特定の目的を持っていることが分かる相手と面と向かうのはなんか恥ずかしい。渋谷とか新宿とか、存在性が不在の土地は好きだ。みんな好き勝手に考えているなんて最高じゃんか。

 

私は実質2留のポンコツ学生だから何も言える立場にはないんですけどね。黙って授業聞いてろって話。でもサボっちゃうんだな、これが。これは留年生に共通のことだと思うんだけど、新生活が始まる前から悟ってるんですわ。「はい死んだ」って感じに。実際そう。ただ思わぬアクシデントで留年しちゃった人はトラジェディー。就職も決まって授業も普通に受けて、試験ミスって留年。このパターンの人は既に血の池地獄に嵌っている。ダメージを受ける準備をしていないわけだから25%のダメージで済むところが170%ぐらいになっちゃうわけ。オーバーキルなのよ。

 

だからカスは自分がカスであることを認識できて初めて人間としてスタートするのよ。そうすればどんなダメージもぬらりくらり躱せます。これがカスの人生論。

今日は雨だった。それに気づいたのは夕方に目が覚め買い物でもしようかと外に出た時だ。私は傘を持っていない。というのも差す必要がないからだ。だって人間は防水仕様だし。ほっとけば乾く。それにずぶ濡れの姿は哀しい使命を背負ってるみたいでクールだ。ただしこれは一般的な社会において惨めで汚い野良犬とニアリーイコールなので明るいうちにやってはいけない。そういえばドラえもんの映画でびしょぬれの野良猫にのび太が「ズブ」と名付けていたな。最高。

 

買い物ではライ麦パンと鶏むね肉と玉ねぎを買った。人間関係が枯渇している人間は家にこもりがちなので脂肪が溜まりやすい。だからヘルシー志向を目指すことにした。これはせめて家の中では人間らしくしていようという些細な決心。もともと太り気味だったが、最近は食事量を減らしたおかげで徐々に痩せていっていると実感できる。常に空腹なのが玉に瑕。

 

明日からまた知らない奴らの顔を何十人と見て過ごさなきゃいけない。こんな片田舎で、喧しい連中と空間を共有するというのはなんたる地獄。しかし僕は彼らより幾分も劣っていることを常に理解していなければならない。イヤ〜〜〜〜〜!!!!!!!!

ローストビーフ

日夜うまいローストビーフを作ることに精を出している。近所に大型スーパーや業務用スーパーが一切ないので、牛モモ肉の入手が極めて困難。まれに売り出されていることはあるが、ローストビーフ用にカットされたものではないので薄い。だから半ば祈るようにして近所のスーパーに顔出しをしている。運良く300グラムでもあればラッキー。しかもオーストラリア産ならなおよし。しかしかっこつけて和牛を仕入れてるときがあるから、そのときは指を噛みつつ退散。同じグラム数でもアンガスと和牛では3倍近く値段が違う。和牛はおいしいから仕方ないよね…。

 

牛モモ肉を買ってきたら調味料を加える。バジル、パセリ、オレガノ、ガーリック、岩塩、ブラックペッパーをふんだんにかけてオリーブオイルを塗り常温になるまで放置。常温になったら表面を厚さに応じて数分焼く。焼けたと思ったらアルミホイルで包んで1時間放置。1時間経ったらアルミホイルを取り除いて完成。

 

これが私の調理法だけど、かなり適当。本格的そうだから英文のレシピを参考にしているが、たまに辞書を参考にしても全くヒットしない謎ワードをぶち込んでくるので最初の数行しか読んでいない。それにアメリカの家庭の定番みたいなゴツいオーブンなんかないし、コンロ(ガスでもIHでもないよくわからんやつ)は1つのみ! 「学生は料理なんかしねえから笑」みたいなスタンスで設計したのか? まな板を置くスペースもないから笑っちゃう。よくシンクに食材をぽろぽろ落とす。泣いていいか?

 

とはいえ安全は確保してくれるし家賃が安いので許している。やかましい隣人もいないので極めて静か。ローストビーフの話から脱線してアパートの設計の話になってしまった。

 

とにかく、完成したローストビーフは味が安定しない。ほぼ生の時もあるし、完璧に火が通っている時もある。だから今は試行錯誤のフェイズだけど、貯金がみるみる減っているのでそろそろ味を完成させたいところ。まあ無理だろうな。

ハッピー

友人たちはみんな大学を卒業して就職しているが、私はまだ大学生。2年間の休学を挟み、去年復学をしたものの全くやる気が起きず大学にはほとんど通わなかった。今春から建前は4年生だが、実質6年生みたいなもの。もういっそのこと辞めてしまいたかったが、両親曰く大卒未満は非人間だという。どうしても辞めたければ勘当すると脅され、やむなく通い続けることにした。なぜなら社会不安障害を患っているのに外にほっぽり出されたら2秒で死んでしまうので…。人と面と向かうと、まともに会話ができないので当然アルバイトなんかもできない。かなしいね。

 

とはいえ自己主張は激しいので見た目に関してはうるさい。髪は伸ばすしヒゲは生やす。実家から離れる際、髪を切ったしヒゲも剃ったが、今は好き放題やるつもり。両親はヒッピーみたいな私を嫌っているが、私はそういう振る舞いしかできないのだ。つくづく親不孝だ。

 

大学が始まるので2週間くらいある。授業が始まれば、硬いイスに座らなきゃいけないのが最悪。低反発ウレタンのイスにしてほしい。それに男女問わず見たくもない知らない奴の顔を視界に入れなきゃいけないのが意味わからない。殴っていいか?

 

人混みは嫌いじゃないしむしろ好きだが、同じコミュニティにいる連中と同じ時間を過ごさなきゃいけないのは業火に灼かれるよりイヤだ。

 

こんなにネガティブな感情ではマイナス効果しか生まないのでハッピーなことを考えようと思う。寝てるうちに死んでいるとか。